映画『それでもボクはやってない』の評価

2007年(平成19年)1月20日に公開された周防正行監督による日本映画です。

日本の刑事裁判、人質司法に疑問を投げかけた社会派の作品。

日本アカデミー賞では優秀作品賞、優秀監督賞をはじめ、全部で11部門で受賞しています。

その中でも、悩みながらも主人公を信じる母親役のもたいまさこさんは最優秀助演女優賞を受賞しました。

報知映画賞では最優秀邦画作品賞、最優秀主演男優賞を受賞し、他にも多数の賞を受賞しています。

映画『それでもボクはやってない』の詳細なあらすじ

主人公の金子鉄平(加瀬亮)は、会社の面接を受けに行く際に乗った電車で、女子中学生に痴漢と間違えられます。

何とか釈明しようとしたのですが、有無を言わさず駅員室に連れて行かれまもなくやってきた警官に逮捕されてしまいます。

痴漢の罪を認めて5万円の罰金を支払えばすぐに帰れるのに対し、
無実を主張して裁判で戦うとなれば、長くて半年近く拘留が続くことになると説明されます。

痴漢冤罪で逮捕されたときの流れと、冤罪対策について解説


日本では、刑事事件で起訴されると99%の確率で有罪となる。

当番弁護士にも、「やっていなくても、痴漢を認めてしまった方が楽だ」と言われるが、金子は裁判で戦うことを決めます。

金子にはベテラン弁護士の荒川(役所広司)と、新米弁護士の須藤(瀬戸朝香)が担当としてつきました。

無実の罪を証明しようと、徹平の母の豊子(もたいまさこ)や友人の達雄(山本耕史)達が事件の調査や署名活動をして、金子の無実を明らかにしようとする。

裁判が始まると、警察のずさんな捜査が明らかになっていき、裁判は金子に有利に進んで行きます。

しかし、公判途中で裁判長が交代し、いままでの説明が水の泡に。

新しく交代した裁判長は検察側よりの心証を持っており、弁護側の反論を次々と退けていき、有利だと思われた金子に暗雲が立ち込める……。


無実の罪で問われた主人公。
裁判長の交代で不利になる中、果たして冤罪を晴らすことができるのか?続きは映画でお楽しみ下さい。

主役を演じた俳優・加瀬亮さんについて

突然降りかかった理不尽な出来事に、毅然と立ち向かう青年という難しい主役を演じた加瀬亮さんは、2000年映画デビューの俳優です。

この作品「それでもボクはやってない」で加瀬亮さんは日本アカデミー賞優秀主演男優賞をはじめ、日本映画賞各主演男優賞を総なめにしました。

直前の2006年末に公開された「硫黄島からの手紙」ではオーディションで存在感を残し、監督のクリント・イーストウッドにも演技を賞賛され抜擢。

期間を置かずにスクリーンに登場したことにより、加瀬亮さんは日本国内だけではなく、世界で注目をあつめていきます。

その後、地上波ドラマでもおなじみの顔になり、2010年には北野武監督による「アウトレイジ」シリーズに2作続けて出演、得意な英語を生かしのしあがっていくインテリヤクザを熱演しています。

さらに2016年に公開されたマーティン・スコセッシ監督の「沈黙 -サイレンス-」にも出演、国内国外問わず役者として活躍を続けています。

日本の冤罪事件について

映画の終わり方が気になる作品ですが、「それでもボクはやってない」は痴漢冤罪を題材とした映画ですが、冤罪事件は痴漢事件だけで起こっているものではありません

冤罪事件と思われる事件の数は、実際のところわかっていません。

法務省の発表する犯罪白書では、警察に検挙された事件で不起訴(嫌疑不十分)となった事件の件数は、年間で100件前後あるとなっています

警察に逮捕されたとしても、必ずしも有罪とはならないにしても、警察に逮捕され裁判にかけられたりしたら、その後の人生に大きな影響を与えるのは間違いありません。

冤罪事件を無くす、または、自分が冤罪にかけらたらどうしたらいいのかを知るためにも、こちらの映画を見て冤罪について少しでも知っておくといいのではないでしょうか。

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