痴漢冤罪で逮捕されたときの流れと、冤罪対策について解説


毎日の通勤、お出かけの足として欠かせない公共交通機関。
そんな交通機関を利用中、突然「痴漢をした」と疑いを掛けられてしまったとき、一体どのように対応すれば良いのでしょうか。


痴漢は忌むべき犯罪であり、社会的な反発は大変大きいものです。
その分、冤罪で身柄を拘束されてしまった、などの事態があると、見に覚えがないにも関わらず、大きなダメージを負うことになりかねません。


痴漢の冤罪を掛けられた場合、どのような扱いを受けることになるのか、どのような対処をするべきなのかを解説します。


痴漢行為の疑いで逮捕されたときの流れ


まずは、痴漢行為の疑いがかかったとき、どのような扱いになるのかを確認してみましょう。


逮捕〜取り調べ

痴漢行為をしたとの訴えを受けた場合、まずは駅員室などで事情を聞かれるのが一般的です。
この時点で痴漢行為をしていない、とわかれば開放されることもありますが、特に満員電車などの場合、客観的に無罪を証明することは大変難しいと言わざるを得ません。


警察が到着すると、任意同行を求められます。
これを拒否すると、逃亡の恐れがあるとして逮捕されることになるでしょう。

任意同行に従う、あるいは逮捕されたあとは、警察署にて取り調べを受けます。
自分の身元や、犯行の内容を尋ねられることになります。
このとき、事実でないことが供述調書に記載されていても、調書に署名捺印してしまうと、後から訂正が効きません。


自分自身の認識と異なることが記されている場合は、安易に署名捺印するべきではありません。

勾留

逮捕されたのち二日以内に、送検手続きが行われ検察官と面会が行われます。
この面会の結果により、身元の勾留請求をするかどうか、検察官が決定します。

痴漢行為をしたと認めて逃亡の心配もない、という場合は釈放されることが多いのですが、容疑を否認する場合は勾留を請求されることがほとんどです。

勾留請求が行われた場合、さらに裁判官との面会が発生します。
裁判官に話を聞かれ、その内容次第で、裁判官が被疑者の身元を勾留するかどうかを決定するのです。

勾留が決定してしまうと、決定した日から10日間は警察署で身柄を拘束されることになってしまいます。
その10日間の後、最大10日間の勾留延長が認められる可能性があり、痴漢の事実を否認している場合、最大まで延長されることが多いです。


痴漢の事実を認めず争う場合、かなりの長期間拘束される覚悟が必要となります。


起訴〜裁判

勾留期間が期日を迎え、検察官が起訴する必要があると判断した場合、刑事裁判の被告人として起訴されることになります。

痴漢の事実を認める場合はすぐに裁判の決着が着きますが、事実を争う場合は複数回の審理を行うことになるでしょう。

映画「それでもボクはやってない」では、上記で解説したような手続きの流れが、相当なリアルさをもって描写されています。
緻密な取材の積み重ねによる説得力は、静かに観客を圧倒するものと言えるでしょう。

痴漢冤罪に対処するには


ここまで、痴漢冤罪で逮捕された場合の流れを解説してきました。


前項での解説にもありましたが、勾留の時点で最大20日の時間が経ってしまいます。
また、裁判までに至れば、初回の裁判の開始までに、大体2ヶ月程度かかることになり、保釈されない場合はその間ずっと身柄を拘束されることになります。


この拘束はかなりの社会的ダメージを生み出します。
では、痴漢冤罪の憂き目に遭ってしまったとき、どのような対処を取ればいいのでしょうか。


早急に弁護士に連絡する

一番の対策は、早急に弁護士へ連絡を取ることです。
可能ならば、冤罪に巻き込まれた車内や、電車から降りたホームなどがいいでしょう。
毅然と「やっていない」ことを主張し、弁護士が到着するまでその場を動かないことをおすすめします。


駅員室に連れて行かれてしまった場合、「私人による現行犯逮捕」とみなされ、そのまま拘束される可能性があります。


また、逮捕拘束されてしまった場合でも、速やかに弁護士に連絡を取るべきだと言えます。
逮捕期間は家族の面会も許されず、話ができるのは弁護士のみです。
家族との連絡を仲介してもらったり、取り調べにおいて話すことの方針を相談したりすると良いでしょう。


目撃者を募る

痴漢であると告発された場合、可能なら、車内での痴漢行為の目撃者を募りましょう。
特に、両手を上に挙げる、かばんを前で抱いておく、など、痴漢と勘違いされないよう対策を取っていた場合、第三者がそれを証言してくれれば非常に強力な味方となります。


繊維鑑定や、その他の鑑定を依頼する

痴漢行為に及んでいた場合、被害者の女性が着ている衣服の繊維や、何らかの体液が手に付着する場合が多いです。
そのため、そのような付着物がないか鑑定をしてもらい、客観的な冤罪の証拠を求めることも重要と言えます。


痴漢したことを認めない

痴漢冤罪を掛けられた場合、決して痴漢したことを認めてはいけません。
前述の通り、痴漢の事実がないことを争うと、たしかに長期間拘束されることになってしまうことも多かったです。


しかし現在では、痴漢冤罪で人生を歪められた人たちの話が表沙汰になるにつれ、検察官、裁判官ともに痴漢での勾留に慎重になっています。

そのため、拘束されることを恐れて、嘘の自白を行い罪をかぶる必要はありません。